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私の実家は手芸屋さんと併設して、紳士服の仕立て屋さんを営んでいました。 兄が就職活動を始めた頃、父から2着のスーツがプレゼントされた。 二十歳そこそこの若いもんには、きちんとし過ぎて、浮いてるように感じた。
だから、若い人は、サイズを合わせてきちんと作られた服より、正直、「はる○ま」やら「あ○やま」とかの安いので充分。 中学生がヴィトンのバックを持っていても、いいと感じないのと同じかと思う。
大阪で、ドラッグクイーンの衣装を頼まれたときに、初めて、着る人に合わせて作るということ、プラス「非日常」の衣装ということで、ダブルパンチを食らった。 それまで、購入する人が見えない中で、流行や価格に捕われて、Tシャツやカットソーなどの日常着を作っていた私には、これしかない!と
29歳で、ウェディングドレスを作り始めた私は、それまでにも、ずっと衣料に携わってきていたもので、まあ普段着のワンピースの延長線上のように思い、あまり難しく考えていませんでした。 採寸や仮縫いも、小さい頃に見ていたことだけを頼りに、回数を重ねることで、学んでいきました。
すべてフルオーダーで、毎回違う素材、デザインのため、毎回お勉強。
自分の中で自然とこだわっていたのは、着た時のラインでした。
よく、「背が低いからマーメイドラインは似合わない」とか、「おしりが大きいから、パンツよりスカート」とか言われているけど、似合わないのは、既製の服はある程度基準サイズに合わせて作っている為、平均身長の160cmの人が着たときに、きれいに見えるように作られており、150cmの人にはきれいなラインに見えないと感じてしまう。
例えば、ブーツカットのパンツの広がりを出す位置が、背が高い方だと膝あたりからなのに、背が低い方だと、ふくらはぎの辺りなる。 それだけで全くラインが変わってくるから、似合わないと判断されてしまう。 ただ、同じように広がりの位置を上げるだけで、似合う服になるのに。私からすると、もったいない! 服と体のバランスが良いと、似合う服になり、バランスが悪いと、ダサくなる。
たったそれだけのことだけど、自分に合う服とは、意外と出会いが少ない。
だから仕立て屋さんの娘としては、「似合う服を作る」それが私の答えです。
そうはいっても、まだまだです。ホント、まだまだです。だからいつも、120%全力投球です。 数年前に、テレビの取材をしていただいたときに、とっさに出た言葉が「毎回、恋人に作る気持ちでドレス作ってます」でした。 言った自分もハッとしました。そうそう、そうなんよ〜。と自分で言った言葉が嬉しかった。
結婚式自体、年々数少なくなっている上、一生に一度のものだからこそ、せめて着るだけでも幸せに感じる衣装を着てほしいのが本音です。 オーダーじゃなくても、私のとこじゃなくても、着る方にとって似合うものを選んでほしい。 結婚式は非日常で、特別なんだから。
だから、お作りするドレスは、一針一針心をこめてお作りします。